これまではコンドームが主な予防方法でしたが、現在ではさまざまな予防方法とその組み合わせを利用することができます。
HIVだけでなく他の性感染症もかなり防ぐことが可能。PrEPのように前もって準備をする必要もなく、安価に入手できる。
HIV感染リスクをほぼゼロにできるが、他の性感染症を防げない。HIV陰性と確認できている人のみが利用可能。HIV検査などとセットで行う必要がある。
HIV検査で陽性とわかったら、 適切な治療をしてウイルス量を検出限界未満の状態を続けることで、セックスの相手に感染しない状態になれる。
HIV陰性でもHIV陽性でも、自分の今の状態を早めに知ることが、いままで以上に重要!HIV検査がどの予防方法を選択するかを考える出発点になるからです。
継続的な治療でU=Uを目指すことができる
PrEPを含めた予防の組み合わせを検討できる
U=Uを目指せないしPrEPも使えない。
コンドームを使うことができる
ツールを生かす 環境を変える 行動を支える
といった複数のHIV予防を組み合わせて、個人〜社会全体で効果的に予防が進むように取り組んでいこうという考え方のことです。
検査・治療を受けやすい環境作り、HIVやセクシュアルマイノリティ等のスティグマ軽減、相談や性教育の機会を適切に設けることなども重要なHIV予防の要素です。
HIVは死を待つだけという一択の時代から時を経て、治療も予防方法も大きく進歩した。HIV陽性ならばU=Uを目指すことができ、陰性ならばコンドームだけでなくPrEPも使うことができる。新たな選択肢のある時代になった。
自分に合った予防方法を選ぶことができ、相手にも選択肢がある。例えば、「自分はPrEPを使ってコンドームなしでセックスしたいが、相手はPrEPなしでコンドームを使ってしたい」とか、「自分はPrEPもコンドームも使ってセックスしたいが、相手はU=Uでコンドームなしでしたい」など、さまざまな組み合わせがあり得る。選択肢が増えたことで、お互いの選択を尊重して折り合いをつけることが、より重要になったのではないだろうか。
この時代、キーとなるのはコンドームかもしれない。相手と柔軟に折り合いをつけるために、コンドームという選択肢を手放さないほうがいいからだ。コンビネーション予防の時代だからこそ、梅毒などの性感染症の流行が続いているいまだからこそ、コンドームについて再考してみてはどうだろう。
矢島 嵩(1996年にHIV陽性告知)