みんなの生活にコロナの影響がどれくらいあった?
アンケート結果1327人の分析

新型コロナ流行とセックス・HIV予防に関する現状

首都圏に住むゲイ・バイセクシュアル男性を対象として、
新型コロナウイルス感染症の流行期の行動やHIVの感染予防の現状に関する
調査が実施され、今後の対策に生かしていくことを目的としました。
ゲイ向けGPS機能付き出会い系アプリ上で
ゲイ・バイセクシュアル男性向けにバナー広告を展開し、参加者を募集しました。
2020年10月16日から10月26日と短い期間でしたが、多くの方に回答いただきました。
調査へのご協力をどうもありがとうございます。

【アンケートの実施方法】

調査実施期間:2020年10月16日から26日の11日間
調査項目:全39問(新型コロナウイルス感染症の知識・行動、
性行動、HIV検査行動など)

【アンケートの分析対象】

分析対象は…1,327件
本報告の分析対象は、首都圏に居住する20歳以上のゲイ・バイセクシュアル男性で、かつHIV陽性ではない者に限定した。

本調査は、厚生労働科学研究費補助金エイズ対策政策研究事業「HIV検査体制の改善と効果的な受検勧奨のための研究」の一部として実施されました。

新型コロナの感染予防のためにみんながしてること

新型コロナ感染予防のために
していること(あてはまるものすべての回答)

全国の調査 今回の調査
手洗い・うがいやアルコールによる手指消毒 90.6% 87.7%
せきやくしゃみ時はマスクハンカチ等を口にあてる 82.5% 83.1%
人がたくさん集まっている場所に行かない 78.8% 73.9%
換気が悪い場所には行かないようにしている 69.5% 66.8%
社会的距離を意識して行動している 57.4% 60.5%
他の人と、近い距離での会話や発声はしない 55.8% 49.1%
不要不急の外出を避ける 66.3% 41.6%
仕事はテレワークにしている 2.1% 26.9%
特にやっていることはない 2.2% 3.1%
その他 2.6% 1.4%

不要不急の外出やテレワーク以外は、
全国調査の傾向とほぼ変わらない。

※厚生労働省が全国のLINEユーザーを対象に実施した
第5回「新型コロナ対策のための全国調査(2020年8月12日〜13日)」の質問項目に揃えて聞いています。

セックスについて、新型コロナ感染予防
のためにしていること(あてはまるものすべての回答)

セックスの前と後に手洗いうがいをする 52.4%
自分や相手の体調が悪い場合、セックスを控える 51.8%
シャワーをこまめに浴びる 38.8%
セックスの相手を特定の人に限るなど、少なくする 38.4%
セックスの機会を減らして、オナニーを楽しむ 31.4%
セックスをしていない 21.5%
窓やドアを開けて、換気のよい状態を保つ 17.2%
セックスについて新型コロナ感染予防を特にしていない 10.7%
キスやアナルなめ、生フェラなど口を使った行為を避ける 7.1%
ビデオチャットなどでバーチャルセックスを楽しむ 7.1%
飛沫が飛ぶのを抑えるため、セックスの時もマスクを着ける 3.9%

自分のできる予防方法を行っている一方で、
バーチャルセックスやマスクをつけてのセックスなど、
新しい方法はなかなか難しいのが実態。

新型コロナでみんなの行動はどう変わった?

首都圏1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)では2020年4月7日から5月25日まで1回目の緊急事態宣言が発出された。

緊急事態宣言前後の
半年間を比べての回数や量(あてはまるものすべての回答)

セックスの相手 (n=1086)

増えた 7.3%

減った 61.6%

変わらない 31.1%

ゲイ向け商業施設の利用 (n=518)

増えた 3.5%

減った 78.4%

変わらない 18.1%

出会い系アプリ出会いの相手 (n=895)

増えた 12.5%

減った 55.0%

変わらない 32.5%

飲むお酒の量 (n=963)

増えた 21.4%

減った 39.4%

変わらない 39.3%

ハッテン場のセックス (n=525)

増えた 5.3%

減った 75.4%

変わらない 19.2%

PrEP薬の入手に苦労したこと (n=137)

増えた 35.0%

減った 2.9%

変わらない 62.0%

セックスの相手、出会い系アプリでの出会うセックス、
ハッテン場のセックス、バーなど
ゲイ向け商業施設の利用が減った人が多かった。
また、PrEPに使う薬の入手に苦労した人も35%いた。

緊急事態宣言前後の
半年間で利用した施設(あてはまるものすべての回答)

宣言・前 宣言・後
ゲイバー 39.6% 26.4%
ゲイ向けのクラブイベント 12.2% 2.8%
有料のハッテン場 43.1% 24.3%
野外のハッテン場 15.0% 12.3%
出会い系スマホアプリ・ウェブサイト 74.6% 70.3%
どれも利用していない 11.9% 16.8%

バー、クラブ、有料ハッテン場などの利用が大きく減少した。

アナルセックス時の相手の人数
(アナルセックスをしなかった人を除外した%)

1人 2〜3人 5人以上
宣言前(3月まで)の半年間(771人) 26.7% 38.6% 34.7%
宣言後(4月以降)の半年間(855人) 30.6% 41.6% 27.8%

「5人以上」とセックスをした人の割合が減少した。
また、コンドームをセックス時に必ず使った人の割合は
前32.6%から、後35.1%と大きな変化はなかった。

新型コロナ禍ではHIVの検査はどうしていた?

これまでの
生涯における受検経験

受験経験

最後に検査を受けた時期

過去6ヶ月以内 30.0%
6ヶ月以上1年以内 18.9%
1年以上2年以内 21.1%
2年以上前 30.1%

最後に受検した場所

保健所・保健センター 30.3%
病院・診療所・クリニック 30.3%
東京都南新宿検査・相談室 17.4%
イベントHIV検査会 5.3%
郵送検査 5.1%
HIVcheck.jp 3.1%
手術前・入院時の検査 2.7%
自己検査キット 2.1%
多摩地域検査・相談室 1.5%
その他 2.2%

(n=1068人)

緊急事態宣言後の半年間における
検査の受検意図】と【検査控えの経験

検査の受検意図

HIV検査を受けたいと思ったこと
(n=1327)

ある
46.3%

ない
53.7%

検査控えの経験

新型コロナの感染予防のために、
HIV検査を受けるのを控えたこと
(n=614)

ある
32.6%

ない
67.4%

検査を受けたいと思った人の約3分の1が、コロナの影響でHIV検査を受けるのを控えた経験があり、また従来の検査場所で検査が受けられなかった人たちは、様々な別の方法で受検していた。

緊急事態宣言後の半年間において、
HIV検査が休止で受けられなかった経験(n=614)

保健所が
休止
15.3%

病院が
休止
5.9%

その他
3.3%

ない
77.9%

HIV検査を受検できなかった割合は21%だった

保健所や病院のHIV検査が利用できなかった時、
他のHIV検査を利用しましたか?(n=136)
(あてはまるものすべての回答)

4月以降は検査を受けていない 61.0%
他の地域の保健所・保健センターを利用 5.1%
他の病院・診療所・クリニックを利用 8.1%
東京都南新宿検査・相談室を利用 8.8%
東京都多摩地域検査・相談室を利用 0.0%
献血を利用 1.5%
郵送検査を利用 1.5%
自己検査キットを利用 1.5%
イベントHIV検査会を利用 4.4%
その他 8.1%

検査を受けたいと思った人の約3分の1が、コロナの影響でHIV検査を受けるのを控えた経験があり、また従来の検査場所で検査が受けられなかった人たちは、様々な別の方法で受検していた。

回答者のプロフィール

分析対象は1,327件
本報告の分析対象は、首都圏に居住する20歳以上のゲイ・バイセクシュアル男性で、かつHIV陽性ではない者に限定

【居住地】

東京都23区内  52.3%
東京都23区外  9.3%
神奈川県 ……… 14.2%
埼玉県 ………… 10.5%
千葉県 ………… 8.2%
茨城県 ………… 2.2%
栃木県 ………… 1.1%
群馬県 ………… 1.3%
山梨県 ………… 0.9%

【性感染症の既住】
(複数回答)

梅毒 …………… 17.4%
クラミジア …… 14.5%
淋病 …………… 9.6%
A型肝炎 ……… 2.6%
B型肝炎 ……… 11.0%
C型肝炎 ……… 0.7%
尖圭コンジローマ 8.1%

U=Uの認知/PrEPの経験
U=Uの認知/PrEPの経験

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感染の
メカニズムを知ろう

新型コロナウイルスはどこにある?

口や鼻からでた飛沫(せき、くしゃみ、つばなど)のなかにウイルスがあります。また大便や精液中にもウイルスは見つかっています。

どのように感染する?

飛沫や大便に含まれたウイルスが口、目、鼻のなかに入ったときに感染の可能性があります。ウイルスは手や皮膚や髪の毛、洋服、物についたものが入ってくる場合があるようです。

最新の、
正確な情報に注意しよう

情報がいつ、また誰が書いたものなのかに注意しましょう。新しい感染症のため、新しい事実が少しずつ明らかになっています。ニュースやメディアや個人によって書かれたものも参考になりますが、なかには過剰に不安をあおるものもみられるため、注意が必要です。akta.jpでも、新しい情報について紹介しています。

自分と
相手のことを考えてみよう

新型コロナは、感染しても症状が出ない期間があり、特にその期間に気づかずに他人へ感染が起こっていることがわかっています。自分が感染したらどうなるのか、すでに感染していたらどうか、相手は?など、セックスする前に具体的な想像をしておくと、後で気持ちを整理しやすいかもしれません。

自分ができる、セックスでの感染リスクを下げる方法を試してみよう

大事なのは、ウイルスが自分やセックスの相手の体に入る機会をさけたり、減らすこと!
下のチェックリストでできることを試してみよう。

  • セックスの前と後の手洗い&うがいをし、シャワーをこまめに浴びる
  • 自分や相手の体調が悪い場合、セックスをひかえる
  • 窓やドアを開けて、換気のよい状態を保つ
  • 飛沫が飛ぶのをおさえるため、セックスのときもマスクを着ける
  • キスやアナルなめ、生フェラなど口をつかった行為はさける
  • セックスの相手を特定の人に限るなど、少なくする
  • セックスの機会を減らして、オナニーを楽しむ
  • ビデオチャットなどでバーチャルセックスを楽しむ
    (個人情報はしっかり守ろう)