Down!
HAVE A NICE SEX! の
新シリーズはこちら

HIVを持っている人も、そうじゃない人も、
最近検査を受けてなかったり、まだ受けたことがなくてわからない人も、
ぼくたちはもう、一緒に生きている。

セーファーセックスというセックスの「方法」を考えてみることは、
HIVを持っていても持っていなくても、大切なこと。
あなたがこれを読んで、自分なりのやり方を見つける
手助けになればいいなと思っています。

そんな考えから、『HAVE A NICE SEX』は2007年にはじめて
冊子として作られました。
それからの10年で、HIVをめぐる状況は大きく変わったことと、
まだ変わっていないことがあります。
HIVをめぐる新たな状況に対応して、ウェブ用につくり直しています。

HAVE A NICE SEX!
(2017年6月更新)

理論編(感染のメカニズムを知ろう!)

セーファーセックスっていっても、どうやって感染が起こるのかを知らなければ考えづらいよね。
じゃあ、HIV(エイズウイルス)ってどんなふうにして人から人へ渡っていくんだろう?

「危険なのはアナルセックスだけ」とか、「タチは感染しない」とか、いろいろ耳にするけどそれってホントなの?
コンドームさえ使っていれば大丈夫なの?コンドーム以外に安全にする方法ってないの?
感染している人どうしだったらセーファーセックスしなくていいの?
HIVに感染したら二度と感染しないの?

いろんな疑問も、HIVの感染がどういうふうに起こるのか、ちゃんと知らないと解決できないよね。
まずはHIVの感染のメカニズムを知ろう!

HIV(エイズウイルス)は
どこにいる?

HIVは感染している人の体液の中にふくまれている。どんな体液の中にあるのだろう?

血液・精液・さきばしり液・膣分泌液・母乳

また、腸粘膜から出てくる粘液にも、HIVがふくまれるという報告がある。
腸粘液は、便がスムーズに排泄されるような潤滑剤の役目をするものだ。

さきばしり液は?

さきばしり液の中には精液がまざることがあるから、HIVがふくまれる。
精液ほどではないけど感染が起こる可能性がある。

これ以外の体液は?

唾液・尿・汗・涙などにはほとんどふくまれないので、感染力はない。

HIV(エイズウイルス)の量と
感染の起こりやすさ

感染している人の体内にはHIVがあるけれども、そのウイルスの量はさまざま。
一般的に、ウイルスの量が多ければ感染が起こりやすくて、少ないと感染が起こりにくい。
だから、セックスの相手が仮に「HIVに感染している人」であっても、
その状態はいろいろで、見た目ではわからない。

「HIVに感染している人」の様々な状態と感染の起こりやすさ

実はHIVに感染しているが、感染していることに気付いていない人
ウイルス量が数万〜数十万(コピー/ml)と高いことが多い。
特に感染してまもない1週間〜2週間はウイルス量が数百万もあることもあり、リスキーなセックスをすると非常に感染が起こりやすい。
HIV検査を受けてHIV陽性とわかったが、まだ治療を受けていない人
同じく感染が起こりやすい。
しかし、HIV陽性と本人自身がわかっているため、感染を防ごうという気持ちと工夫があれば予防することは可能。
HIVの治療を始めたが、まだウイルス量が十分に低くなっていない人
ウイルス量が数万→数千→数百へと減少していく段階。
感染が起こりやすい状態から感染が起こりにくい状態に変化している途中、どの程度感染が起こりにくいかは正確にはわからない。
HIVの治療をしっかり継続していて十分にウイルス量が低くなっている人
ウイルス量が検出限界以下(ゼロではないが、検査では測れないくらい少ない状態)を継続している状態になった場合には、感染が起こる可能性はきわめて少ない。

HIV(エイズウイルス)は
カラダのどこから感染する?

皮膚の傷や粘膜にHIVのふくまれる体液がつくと、
そこからHIVが体の中に入りこむことがある。
そして最終的に血液の中に入ると感染する。
傷や粘膜について考えてみよう。

皮膚と傷

皮膚は「硬い壁」と「やわらかい細胞の層」でおおわれていて、その下に血管がある。
「硬い壁」で守られているので、正常な皮膚にHIVがふくまれる体液がついただけで感染することはない。

出血した傷口
血管まで裂けているので、そこからHIVが入ると感染する可能性が高い。
出血をしていない傷口
しみる・ヒリヒリするような傷口は、「やわらかい細胞の層」の下まで傷がとどいているので、HIVが入ると感染する可能性がある。
そこまで深くない傷は、リスクは少ないが、できるだけHIVのふくまれる体液がふれないように気をつけよう。

皮膚

ペニスの皮膚

ペニスの皮膚はちょっと特別。「壁」も「やわらかい細胞の層」も、とても薄く傷つきやすい。
陰茎小帯(ペニスの下側の亀頭から陰茎をつなぐヒダ)や、亀頭のカリのすぐ下や、包茎の包皮(亀頭にかぶさっている皮膚)の内側の「やわらかい細胞の層」にはHIVが取りこまれやすい細胞がたくさんあることがわかってきた。
この部分にHIVがふくまれる体液がついて、こすれたりすると、感染が起こる可能性がある。

陰茎小帯とカリのすぐ下の皮膚(着色の部分)は
HIVが取りこまれやすい細胞がたくさんある

包茎の場合は、包皮の内側の皮膚(着色の部分)にも
HIVが取りこまれやすい細胞がたくさんある

粘膜

粘膜は「やわらかい細胞の層」だけで覆われ、「硬い壁」がない。
そのすぐ下には血管があるので皮膚より赤く見える場所。
粘膜は傷つきやすくて出血もしやすい。だからHIVの感染が起こりやすい。
特に、直腸や尿道の粘膜は「やわらかい細胞の層」も薄いので、傷がなくても感染が起こる可能性がある。

粘膜

腸の粘膜

他の性病(STD)に
かかっているとHIV(エイズウイルス)に
感染しやすい

性病(STD)とは、セックスによって人から人へとうつる感染症のこと。HIVのほかに10種類以上ある。

HIV以外の主な性病(STD)

  • 梅毒
  • クラミジア
  • 淋病
  • アメーバ赤痢
  • ヘルペス
  • A型肝炎
  • B型肝炎
  • C型肝炎
  • 尖圭コンジローマ
  • ケジラミ症
  • 疥癬(かいせん)

HIVとその他の性病の関係

HIVとその他の性病との関係はとても深い。
性病に感染していると、粘膜に炎症を起こしたり、性器などに潰瘍(かいよう)ができて、そこからHIVが体内に侵入しやすくなる。

例えば、梅毒の初期にできることが多いペニスの潰瘍、尖圭コンジローマで亀頭や肛門にできる突起など。最近では、直腸内で炎症を起こすクラミジアや淋病が、HIV感染の可能性を非常に高めるということが報告されている。

いろいろな性病を気付けることは、HIVの感染を予防するうえでも、とても大事だ。

HIVとは異なる予防の仕方

気をつけたいのは、HIVとその他の性病とは感染が起きるメカニズムがちがうものがある、という点。

例えばHIVはキスでは感染を起こすことはないが、梅毒やヘルペス等はキスでも感染を起こすことがある。
それぞれの性病の最低限の病気の特徴と予防の方法を知っておくことが役に立つ。

また、A型肝炎やB型肝炎であれば、前もって予防のためのワクチンを受けるという方法もある。

性病について知っておいたほうがいいポイント

  1. 感染しても症状が出ない場合があり、自分でも気づかないことが少なくない。
    セックスを通じて知らないうちに、他の人が感染してしまうことがある。だから、検査を受けることが大事。
  2. 性病は、治療で簡単に治るもの、根気づよく治療をつづける必要のあるもの、一生つきあうことになるものなどいろいろ。
    自然に治ってしまうものはとても少ない。
  3. 性病は、一度治療をして治っても、何度もかかるものが多い。
    パートナーも一緒に治療しないと、感染したりされたりという「性病のキャッチボール」が起きやすい。
  4. 同時に複数の性病にかかることもあるため、あなどることができない。
  5. 何らかの性病にかかったら、HIVにも感染している可能性があるので、HIV検査も合わせて受けるようにしよう。

粘膜についてのまとめ

直腸の粘膜

直腸

粘膜がとても薄くて、すぐ下に血管があるので感染しやすい。しかもちょっとした摩擦で傷つきやすく、傷があったり潰瘍(かいよう)や炎症、痔がおきているとさらに感染しやすくなる。

特に梅毒やクラミジア、淋病などの性病があった場合には、HIV(エイズウイルス)の感染が起きやすい。ただし、傷や潰瘍があっても痛みがなく、気づかないことも多い。

口や鼻やまぶたの粘膜

口や鼻の中、まぶたの裏側

直腸粘膜に比べて粘膜が厚く、体液がついても洗い流しやすいので感染しにくくすることができる。でもそれは、例えば「フェラチオは大丈夫」とか「顔射は大丈夫」いうことではない。
あくまでも感染がおきにくくする工夫をしやすいだけのこと。目をこすったり歯ブラシを使うことで細かい傷ができていたり、口内炎や歯周病などの炎症がおきていれば感染しやすくなる。

フェラだけしかしないのに感染したケースもあるので、あなどることなかれ。

尿道の粘膜

ペニスの先から尿道の中

尿道の内側に入ればすぐに粘膜が薄くなっているので、感染しやすい。尿道炎や性病にかかっていれば、さらに感染しやすい。だから「タチは大丈夫!」ではないんだ。傷つきやすい直腸の粘膜からのわずかな出血や、腸粘膜から出てくる粘液など、HIVのふくまれる体液が尿道の中に入ってくれば、十分に感染する可能性がある。

ちなみに、相手の肛門に別の人の精液が残っていたり…なんていうシチュエーションも要注意。

こんなときにHIV(エイズウイルス)の
感染が起きやすい

下のような条件が加わると、感染が起きやすくなる。
逆にこのような条件にならないように工夫すると、リスクを下げることができるよ。

粘膜や傷口にHIVのふくまれる体液が長い時間ついていること
できるだけ早くふき取ったり、たくさんの水で洗い流そう。
粘膜がこすれたり、傷ついたりすること
水溶性のローションなどを使用して摩擦を起きにくくしたり、傷つかないようにしよう。
粘膜に性病による潰瘍(かいよう)や痔があったり、
炎症(扁桃腺が腫れているときや口内炎など)が起きていること
潰瘍や痔、炎症の部分にはHIVのふくまれる体液がふれないようにしよう。

HIV(エイズウイルス)感染の
リスクを下げる工夫

HIVの感染を起こさないためには、HIVがふくまれる可能性のある体液(精液、血液、さきばしり液、腸粘膜から出てくる粘液、膣分泌液、母乳)が、粘膜や、皮膚の傷・炎症・潰瘍(かいよう)があるところにつかないようにする必要がある。

そのためには、セックスの前には自分の身体をチェックしよう。

  1. 傷があったらばんそうこうでしっかりふさごう。
  2. 傷、炎症、潰瘍がある部分はセックスでは使わないようにしよう。
    例えば、口に口内炎があったらフェラチオをやめておくとか、亀頭に潰瘍があったら触らないようにする。
  3. コンドームを使おう。
    アナルセックスはもちろん、フェラチオのときもコンドームを使うほうが確実だ。

そして、自分の健康状態を意識することを習慣にしてみよう。
HIVと性病(STD)の検査は、これまでに検査を受けたことがある人でも年に1〜2回の定期的な検査がおすすめです。

コンドームとローションを
上手に使おう

コンドームは厚さの薄いものや無臭、味付きなど
いろいろあるから試してみよう

コンドームは使用期限を確認しよう。
古いものだと、セックスの途中で破れてしまう心配があるよ。

それからコンドームの裏表を間違えないようにペニスに着け、空気が入らないように皮を下にのばしながらペニスの根本まで下ろし、たるんだ皮を上に引き上げてさらに根本まで下ろしてかぶせよう。暗いところでも素早く着けられるように練習しておくといいよ。

終わったら、根本を押さえて中ではずれないように引き出そう。

コンドームの装着方法
  1. 中身を端に寄せて傷つけないように開ける

  2. 表裏を確認し爪で傷をつけないように精液だめの空気を抜く

  3. 勃起したペニスの皮を根本までたぐり寄せる

  4. コンドームを途中まで巻きおろす

  5. 包茎の場合は、コンドームの根元を持って根元で余っていた皮を亀頭方向に寄せる

  6. 現れた包皮をコンドームでおおい、根元まで巻きおろして完了

射精後は
  1. 根元でコンドームを押さえながらペニスを抜く

  2. コンドームをしばって捨てる

コンドームの正しい使い方
  • 使用期限があるので必ず守る
  • 装着するときに爪を立てない
  • 先っぽに空気が入らないようにする
  • ペニスの皮を下までのばしてコンドームを下までかぶせ、
    次にたるんだ皮を上にのばしてから根本までしっかりと着ける
  • 二枚重ねにしない

ローションを使って、粘膜に摩擦などで傷をつけないようにする

アナル(肛門)を慣らさずに無理にペニスや指、道具を入れたり、強い力で刺激をしないようにしよう。

ローションを使うと感度が良くなるのに加えて摩擦が少なくなるので、粘膜は傷つきにくくなるし、コンドームも破けにくくなる。また、ローションは粘膜を保護するとも言われている。
コンドームを使われるとアナルが痛いっていう場合は、ローションをたっぷり使ってみよう。いまはアナル用のローションなど、種類もいろいろ開発されている。皮膚や粘膜が弱い人は、弱酸性のものを探してみよう。

ただし、ローションは「水溶性」のものを使おう。
マヨネーズやサラダオイル、ハンドクリームやシャンプーなど油が入っているものを代わりに使ってしまうと、コンドームが破れてしまうよ。

使わない方がいい物リスト

ハンドクリームやサラダオイル、ケチャップ、マヨネーズのように油が入っているものはコンドームが破れやすくなる

シャンプーやボディソープなどは粘膜が荒れて傷つきやすくなる

リスキーなことがあったとき
どうすればいいか

どんなに気をつけていても、「絶対に大丈夫」じゃない時があるかもしれない。
「よく見たら手に傷があった」「コンドームが破けた」「途中でコンドームがはずれていた」など、いろいろなトラブルがあるかもしれない。

それに、ふとした気持ちの変化や、ノリでリスキーになってしまうことだってあるかも。
そんなときにはどうしたらいいだろう?

粘膜や傷などにHIV(エイズウイルス)がふくまれる可能性がある体液が接触している時間をできるだけ短くする
粘膜や傷などに体液がついたら、できるだけ早く、やさしくふき取るか、こすらずにたくさんの水で洗い流したり、ゆすいだりしよう。
しかし、腸の洗浄(浣腸)は腸の粘膜を傷つける可能性があるので禁物だ。中出しされた場合は、便をするように自然に出すだけにしよう。これでリスクがどれくらい軽くなるかは、はっきりとはわからないが、できることをしてみよう。
一人で考え込まず、相談をしてみよう
パニックになっているときに、直面している問題をすべて一人で解決する必要はないよ。相談員と話すことで、ひとつひとつ整理することができるかもしれない。
何を話していいのかわからないときでも、電話相談は利用できる。電話相談は匿名で、地域を問わずどこからでも相談ができるよ。
HIV検査を受けてみよう
HIVに感染しているかどうかを知るためには、血液検査を受けることが必要。怖いけれど、仮に感染しているとしたら、早めに知ることは治療にとてもメリットがあることだ。
正確な検査の結果を得るために、感染の可能性のあるセックスから検査を受けるまでの期間を注意する必要がある。
わからないときには電話相談で聞いてみよう。
HIVに感染したかもしれない場合の緊急投薬(PEP)
体内にHIVが入ってしまってから、感染が成立するまでにわずかな時間差がある。そのため、至急(72時間以内)、決められた抗HIV薬を飲み始め、それを4週間つづけることによって、感染のリスクを下げられることがわかっている。海外では制度化されている国もある。現在、日本では主に医療事故による場合が対象となっており、セックスの場合に対してはごく一部の施設のみで対応している。

HIV+でも、
セーファーにセックスができる

HIV(エイズウイルス)は体液と、粘膜や傷などが触れるときに感染する可能性がある病気。
でも、HIV+の人もいくつかポイントを押さえておくと、安心してセックスをすることができる。

セックスでHIVが感染する可能性のある行為は、比較的リスクの高いものから、ほとんどゼロに近いものまである。
また、それぞれの行為を「する/される」によっても、射精の有無によってもリスクが異なる。さらに、粘膜の状態、他の性病にかかっているかどうか、HIV+の人が持っているウイルスの量などによって差がある。

だから、以下の3つのポイントをおさえておこう!

HIV陽性とわかったら、なるべく早めに治療を始めてウイルス量を減らす
抗HIV薬による治療を行っていて、HIVのウイルス量が検出限界以下に抑え続けられている場合には、非常に感染が起こりにくい状態になる。
HIVの治療はセックスをより安心にするためにも役立っている。
性病(STD)やHIVの再感染に気を付ける
免疫力が低いHIV+の人が梅毒などの性病にかかった場合、治りにくかったり、症状が重くなったりすることがある。
HIVについても、タイプの異なるHIVや、薬が効きにくくなっているHIVに再感染するといったリスクがある。だから、HIV+同士でセックスするときも、セーファーをこころがけよう。
やっぱりコンドームは重要アイテム
セーファーセックスは、HIV+の人がHIVを感染させないためのものだけでなく、性病などを予防して自分の健康を守るためのものでもある。
上手にコンドームを使うことがやっぱり大事。

実践編(自分の行為をチェックしてみよう!)

普段のセックスの中で気になる行為について、
どのくらいHIV(エイズウイルス)への感染のリスクがあるのか、
どうしたらよりセーファーなセックスになるのか、
理論編を参考にしながら考えてみよう。

まずは「フェラチオ」と「アナルセックス」、
それから、みんなが気になっていたり、
疑問に思っているいくつかの行為についても、まとめました。
これらを参考に、自分の行為をチェックしてみよう!

フェラチオについて

Q1.
フェラチオをすることで
HIV (エイズウイルス)に
感染するの?

「ぜったい大丈夫」ということはない。
口の中の粘膜は直腸の粘膜に比べると頑丈にできていて、しかも口の中に入ったものをはき出すことができるから、アナルセックスよりもリスクを減らすことはできる。

けれども激しいフェラチオで口の粘膜が傷つくこともあるし、歯茎からの出血や、潰瘍(かいよう)や炎症などが口の中にできていれば、感染は起こりやすい。
フェラチオだけしかしなかったのに、HIVに感染したという人もいる。

精液やさきばしり液が口の中に入らないようにコンドームをするか、亀頭の部分をなめないフェラがもっとも安全。
それでもやっぱりナマでフェラしたいという場合は、できるだけ精液やさきばしり液が口の中に入らないように工夫してみよう。

Q2.
口内射精されちゃった場合は
どうしたらいいの?

精液をできるだけ早く口から出した方がリスクは下がる。
すぐにはき出すこと。そしてすぐにうがいをしよう。

飲み込んでしまうと体の中にずっと残ることになるので、
感染が起こるリスクが高くなる。

Q3.
射精されなければいいの?
さきばしり液をなめても大丈夫?

射精の前からさきばしり液は出ている。
さきばしり液は精液よりリスクは少ないが、できるだけなめない方がいい。

もしなめたら、飲みこまないようにしよう。
そして、できるだけ早くうがいをしよう。

Q4.
フェラチオされる側のリスクは?

フェラチオする側の口の中に出血がなければ、
HIV感染が起こるリスクはない。

Q5.
セックス前の歯みがきは?

歯ブラシで歯をみがくと口の中に細かい傷ができて、感染が起こりやすくなる。
フェラチオをする前には口をゆすぐだけにしよう。

臭いが気になる場合は、マウスウォッシュを使うといいよ。

Q6.
口内炎などがあったり
ノドが痛いときは?

口の中やノドに、炎症があるときは感染が起こりやすい。
その時はナマでフェラをしないようにするか、
精液やさきばしり液が口の中に入らないようにしよう。

Q7.
虫歯は?

しみたり痛んだりする虫歯でなければ大丈夫。

しかし、痛むことがあったり、歯茎に炎症が起きている場合、治療中の場合は、
感染が起こりやすい場所になる。

アナルセックスについて

Q1.
ナマでのアナルセックスはどうして
HIV(エイズウイルス)に
感染しやすいの?

直腸の粘膜はとても薄く、挿入のときの摩擦でカンタンに傷がつくので、リスクは高い。
しかも、アナルセックスで中出しされた場合、精液を完全に外に洗い出すことはできないので、感染が起こるリスクはフェラチオより高くなる。

感染を防ぐには、コンドームを正しく使うのが確実。

Q2.
中出しじゃなければ大丈夫?

さきばしり液は射精の前から出ている。
精液よりもリスクは少ないが、ぜったいに大丈夫とは言えない。
直腸粘膜を傷つけるような激しいセックスをする場合は、
さきばしり液でもそこにHIV(エイズウイルス)があれば、感染すると考えよう。

コンドームは途中や、射精の直前だけではなくて、
最初から最後まで使うことが一番効果的だ。

また、「中出しはやめておこう」と思っていても「ついつい」っていうのが人間なのかもしれない。
外で出す寸前にすでに「最初の一発」が中で出されてしまうことだってあるよね。
ドラッグを使ったセックスの場合は、こういう判断が鈍りがちになるから特に気をつけよう。

Q3.
挿入前のアナルの準備は?

アナル(肛門)はすぐに傷つくので、摩擦が少なくなるようにローションをたっぷり使おう。
ローションは粘膜を保護する作用もある。

アナルはいきなり拡張せずに、ゆっくりと。
風呂に入るなどして暖かくしてから拡張した方が、肛門の筋肉がリラックスして皮膚や粘膜がのびやすくなるので、傷つきにくくなる。

Q4.
タチのリスクはないの?

タチにもリスクはある。
アナルセックスをすると、ウケの肛門や直腸に傷がついて出血することが多い。
また、腸粘膜から出てくる粘液には、出血をしていなくてもHIV(エイズウイルス)がふくまれるという報告もある。

ナマでタチをすると、これらの体液が尿道の粘膜に長い時間ついていることになる。
ピストン運動を繰り返すことで、尿道の奧まで体液が入ってくる。
その場合、タチの尿道の粘膜からHIVの感染が起こる可能性がある。
タチのペニスにヒリヒリするような傷があったり、尿道炎やできものができるような性病(STD)に感染していた場合は、リスクがとても高くなる。

セックス後にオシッコをすることについては、尿道の中の体液を洗い流すという点では理にかなっているが、どれだけリスクを下げることになるのか、はっきりはわからない。

また、ローションを使うことには、摩擦を減らすという利点の他に、尿道口からHIVをふくむ体液が入ってくるのを防ぐという役割もある。
でもやっぱりコンドームを使うことが、タチにとっても確実な予防方法だ。

Q5.
中出しされた場合どうしたらいいの?

まずは肛門部分をやさしく洗い流そう。
それから便をするように精液が出てくるか、ためしてみよう。そのときムリにいきまないように。出てきたら洗い流そう。自然に出てくるのを待とう。
浣腸すると腸の粘膜を傷つけたり、精液をさらに奧に押しやったりしてしまうので注意しよう。

また、パニックになっているときに、直面している問題をすべて一人で解決する必要はなく、電話相談などに相談してみるといいよ。
相談員と話すことで整理することができるかもしれない。

こんな行為はどうなんだろう?

セックスした時のいろいろな場面で、あとから考えると不安になることってあるよね。
結局は検査を受けてみないとわからないんだけど…
感染しやすいのか、ほとんど大丈夫なのか、感染のリスクをもう一度考えてみよう。

Q1.
口内炎があるときに
ディープキスをしたら?

唾液は大丈夫。
口の中に出血がなければ心配はない。

Q2.
口内炎があるときに
ナマでフェラをしたら?

正常なときの粘膜よりもリスクが高い。
射精されたらもちろんのこと、さきばしり液でもリスクが高いと考えよう。
また、口の中に出血していればリスクが上がるし、フェラをされる側にもリスクが出てくる。

風邪をひいているとき、喉が痛いときなんていうのも、
同じように粘膜が弱っていたり、傷ついている可能性が高い。

Q3.
アナルをなめたら?

出血がなければHIV(エイズウイルス)の感染が起こる可能性は少ないが、
A型肝炎やアメーバ赤痢に感染する可能性がある。

Q4.
アナルに指や手を入れたら?

相手の指の爪が伸びていたり、無理をしたり激しく動かすことで、肛門や直腸の粘膜に傷がつくことがある。
その部分に精液やさきばしり液などが触れると、感染が起こりやすくなる。
セックスの事前に、指の爪を切っておくことはエチケットだよ。

入れる側は、指や手に傷がなければリスクはないが、皮膚に傷があればリスクが出てくる。
しみるような傷があるときは特に、手袋をはめるなどして直接粘膜に接触しないようにしよう。

Q5.
相手の精液で
自分のペニスをしごいたら?

摩擦によってできた細かい傷の上や、尿道口に精液がつけば、感染リスクがある。
精液が長い時間ついていればリスクはさらに高くなる。

精液ではなくローションを使おう。

Q6.
指のささくれに精液がついた

出血をしていたり、体液がしみ出てくるような傷、しみるような傷だと感染リスクが高い。
逆に乾いていて、しみない傷ならばリスクは低い。

また、ついた精液はできるだけ早く洗い流した方がよい。
体液と接触する時間は短ければ短いほど、感染リスクは減るからだ。
セックス前に、傷はばんそうこうでふさいでおこう。

Q7.
ドラッグを使ったセックスは?

ドラッグとHIV(エイズウイルス)感染はリンクしやすい。
ドラッグを使うと判断力が鈍って、リスキーな行為に走りがちだ。
常用するようになると、脳にダメージを与えて精神的に不安定になり、ますますドラッグに依存するようになったり、リスクの高いことを続けるようになってしまうこともある。

最初は誰でも「一回だけなら大丈夫だろう」と思って手を出して、結局抜けられなくなってしまう。それに、法的にも禁止されているものは逮捕されることもあるし、身体にどんな悪影響があるかわからないものもたくさんある。

まずは絶対に手を出さないこと。
使ったことがある人は二度と使わないこと。
そして、もし抜けられなくなってしまった場合は、ぜひ薬物依存の相談先にアクセスしよう。
同じ経験を持つ人達の話はきっと参考になるはず。

Q8.
セックスの道具の使い回しは?

ディルドやバイブなどアナルに入れた道具には、腸粘膜から分泌される粘液や血液がついていることがある。
それらを介して感染が起こる可能性がある。
道具は使い回さないようにするか、その都度、洗浄しよう。
入れる人ごとにコンドームをかぶせるのも良い。

少しでもリスクを減らすためには、ローションをたっぷり使い、粘膜を傷つけないようにしよう。

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