特集 新型コロナウイルス感染症 vol.1 「ロックダウン中はヤリモクで人に会うのをひかえよう」
※aktaは、東京およびその周辺での新型コロナウイルス感染症の流行を受け、必要な健康情報を紹介・啓発を行ってまいります。
※新型コロナウイルス感染症とセックスに関連する支援情報については、コチラのページで掲載しています。
※ この記事について、YouTubeで解説を行っています。コチラのページをご覧ください。
新型コロナウイルス感染症の流行を受け、ロックダウン(都市封鎖)を今まさに経験しているイギリスにおいて、HIV/AIDSの感染予防および支援活動を行っているTerrence Higgins Trust(THT)が発表した記事、「Don’t hook up! Why finding pleasure in different ways is key to fight the spread of coronavirus.(ヤリモクで人と会うのをさけよう! なぜ他の方法で喜びを見つけることが、コロナウイルスの感染拡大と戦う上で重要なのか)」を紹介します。
私たちaktaはセックスについて、人が生きる上で重要で、幸福に関わり、ポジティブなものとしてとらえています(また時に、暴力となることも)。そのため、これまで性感染症の予防のためにセックスを避けること、禁欲をすることを伝えたことは一度もありませんでした。
ただし、この新型コロナウイルス感染症の流行に直面している今の期間、セックスをどう考えるのか、改めて一人ひとりが考え直すことが大事だと思っています。そして、この感染症の流行とセックスについて取り扱ったものは、記事等として未だ十分に書かれていません。今回紹介するTHTの記事は、最後につけられている「よくある質問」をふくめ、そのことを考えるのに参考となると思っています。
ただし、読んでいただく前に注意事項があります。
①イギリスでは現在ロックダウンが行われ、外出が厳しく禁止されていること(イギリス政府による情報はコチラ)
②一方で日本ではまだロックダウンは実施されておらず、いつ実施されるかも現時点では未定であること
③下記で「家族」と訳しているのはhouseholdのことであり、家族とのセックスは新型コロナウイルス感染症に感染するリスクがないわけではなく、なるべくリスクを低くする方法として書かれていること
④そして、このアドバイスはずっと続くものではなく、この感染症の流行が収まるまでのものであること
など、読む際に、いくつか前提を確認する必要のあることに注意してください。
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「新型コロナウイルス感染症の対策として、ロックダウン中はヤリモクで人に会うのをひかえよう」
Don’t hook up during the COVID-19 lockdown
25 March 2020
Dr Michael Brady, Medical Director
https://www.tht.org.uk/news/dont-hook-during-covid-19-lockdown
英国の団体、Terrence Higgins Trustの医療部門ディレクターのマイケル・ブレイディ医師は、セックスとは別の方法で喜びを見つけることこそが、新型コロナウイルスの拡大と戦ううえで重要だということを言っています。
イギリスは現在、新型コロナウイルスの流行を拡げることを遅らせるために、ロックダウンされています。それには「セックスを目的に、人と会わないこと」も含まれています。
私は今まで禁欲を促す活動をしたことはありません。しかしこのメッセージは、あなたの性の健康を守ることについて言っているのではなく、あなたやあなたの回りの人の「全般的な健康」を、死亡に至る可能性のあるウイルスから守るために言っています。
私たちは、今までではあり得ない、先例のない注意喚起をしていますが、まさに今が、通常ではあり得ない先例のない状況なのです。
イギリス政府により新しい方策が発表されました。外出しない、対面の人付き合いをしない、不要な旅行を全て取り止める、日々の活動の範囲を最寄りの店舗への食料調達や1日1回の運動に制限する、と国民に呼び掛けています。
加えて、首相からの発表の通り、世帯間のウイルスの拡散を防ぐために、家族、身内以外の誰からも距離を置かなければなりません。
以上の事から次のことが言えます。
あなたが家族の外でもセックスをする人なのであれば、今までとは違う形で性欲を解消する方法を見つけておくことは重要です。
コロナウイルスによる危機的状況にはありますが、「セックスが生活の大切な一部分であること」は忘れないでいたいものです。しかし現時点では、性的な快楽や満足感を得る、別の方法を探す必要があります。
特定のパートナーであるとか、出会い系アプリであることとかを問わず、セックスを楽しむこと、セックスでストレスや不安を和らげること、ただセックスをして時間をやり過ごすこと、などはとても自然なことではあります。
しかし私達の”新しい基準”では、外出しないという忠告を守り通す必要がある間は、家庭の外でのセックスをしないでいるための方法を心得ておかなければなりません。これは単に私たち自身をコロナウイルスから守るためだけではなく、社会の最もウイルスの影響にさらされやすい、弱い立場の人々を守るためでもあるのです。
こんなことを言うとは思っていませんでしたが、現実には当分の間ですが、「あなた自身」こそがあなたの最も安全なセックスパートナーだということです。今は外出しないで、家族の外での密接な接触は避けて、どうしたら私たちのセックスライフを上手く送ることができるかについて考えをめぐらせる時です。
下記のよくある質問がロックダウン中に、あなたが抱えるセックスに関する質問の解決になれば幸いです。
【よくある質問】
Q1. コロナウイルスは性行為で感染しますか?
A. 現時点では性的な接触を通じて感染するというエビデンスはありませんが、密接な身体的な接触で感染が広がるのは確実です(誰かと2m以内にいることで感染リスクは高まります)。ウイルスは唾液や粘液との直接接触することで感染するので、キスもこれに該当します。コロナウイルスは感染している人の便の中にも見つかっているので、アナル舐めによる感染リスクがあると言えるでしょう。
Q2. セックスはしても大丈夫?
A. 残念ながら、手洗いやセックス中に相手とキスをしないことはウイルス感染を止めるのに十分ではありません。恐らくウイルスに感染している人のうち1/3もの人には症状が出ていないと試算されていますが、他の人にウイルスを感染させることはできるのです。それはあなたかもしれないし、パートナーかもしれません。
それでも他の誰かとセックスしたいと思うなら、最も安全なパートナーはあなたと一緒に住んでいる人です。セックスを含む密接な接触をするのが一人または一定の少人数だけの場合はウイルスの拡散のリスクを減らすことにつながります。知らない人や複数の人とのセックスをしないことを強くお勧めします。
身体的な接触を減らしたり、セックスの回数を減らすことで、今後のコロナウイルスの感染を減らす本当に大きな効果をもたらすでしょう。
Q3. 他にどのような方法でセックスできますか?
A. 今は、「あなた自身」こそがあなたの最も安全な性的なパートナーなのです。マスターベーションでコロナウイルスに感染を渡すリスクはありません。それに、マスターベーションはストレスや不安を取り除くことを示す証拠が豊富にあります。
もし大人のおもちゃを使う場合は、使用前と後におもちゃと手を石けんを使って、最低でも20秒間必ず洗浄してください。
また、現代の技術もまたパートナーとつながる別の方法になり得ます。例えば、WhatsAppなどのアプリを使ってテレフォンセックスやビデオデートをしたりなど。
ただし、無理強いされてあなたが不快に感じることまですることのないように気をつけてください。
Q4. 出会い系アプリを使うべきですか?
A. 出会い系アプリは、メンタルヘルスの相談等、支援活動に人々を案内していたり、利用する人たち同士がつながりあえるという意味で、とても大きな役割を果たしています。しかし、もしあなたが誰かとヤリモクで会おうと決めたなら、その場合はコロナウイルス拡散による、いかなる潜在的な害をも少なくすることが本当に重要になります。
キスを避けて、手洗いをして、オーラルセックス中の唾液の接触を減らすためにコンドームを使いましょう。しかし一番のアドバイスは、実際にヤリモクで会うことを全面的に避けることです。たとえタイプの人とアプリ上で知り合ったとしても、ビデオチャットやメッセージのやり取り、または昔ながらのテレフォンセックスを通じてオンライン上でお互いに楽しむの方がはるかによいでしょう。
でも、画像の共有には気をつけてください。画像によってあなたが特定されたり、チャットセッションを他人から見られてしまったり、記録される可能性があることを注意しましょう。
Q5. まだPrEPを服用すべきでしょうか?
A. ロックダウン中は、ヤリモクの外出はしないよう私達は助言しています。HIVのウィルス量が検出限界以下になっていないパートナーとセックスがあるなど、明確な必要がなければ、人々多くがPrEPの服薬の中止を選択するようになることもあるでしょう。
シスジェンダーのゲイ男性(すなわち、出生時にあてがわれた性別が男性で、現在も男性だと自認している人)の場合、最後にセックスをした後丸2日経過してから服薬を止める分には、
PrEPの服薬を中止することは安全です。シスジェンダーの女性やトランスジェンダーの男性と女性そしてXジェンダーの人々を含めた、シスジェンダー男性以外の人の場合は、最後にセックスしてから丸7日が経過するまで待ってから服薬の中止をするよう助言されています。
(服薬中止後)PrEPを再開する場合は、シスジェンダーのゲイ及びバイセクシュアル男性は、セックスをする2時間から24時間前に(通常の)2倍の量の服薬をすることで再開することができます。シスジェンダー男性以外の方々は、再度セックスをする前の7日間毎日薬を服薬する方法で(PrEPを)再開する必要があります。
Q6. 性感染症の検査を受ける必要がある場合はどうしたらいいですか?
A. イギリスでは現在、性感染症の窓口は診察の予約数を減らしており、緊急または至急の場合のみ、受付を行っています。これはコロナウイルスの感染のリスクを減らし、かつ、空きを作ることで医療従事者が他の場所での医療の任務に当たることができる様にするためです。クリニックでは検査が受けられないかもしれません。もしあなたの家の近くのクリニックで対応可能であれば、自宅で検査ができる検査キットを受けとることもできます。詳細はあなたのお住まいの地域のセクシュアルヘルスクリニックのホームページで確認してください。
HIVや性感染症の治療が必要な場合は、引き続き医療機関に行くことはできますので、ご安心ください。至急、緊急のサポートが必要な場合はお住まいの地域の病院にお問い合わせください。
私達は今通常ではない状況下にあって、全員がこの通常ではない事態での対策を講じる必要があります。この状況は永遠に続くものではないこと、そして、あなたが自分の役割を果たすことで医療従事者への負荷が軽くなり、あなたと他の人々を守る助けになることを、どうか忘れないでいてください。
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以上