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aktaのよみもの

HIV陽性者の現状

HIVのイメージを変えよう!

HIV陽性であっても暮らしやすい社会をつくるためには、正しい知識と理解を深めることが大切です。年間500人を超える陽性者、パートナー、家族から陽性後の生活や人間関係等について相談 を受けているぷれいす東京の生島嗣さんにお話を伺いました。

生島嗣さん

生島嗣(いくしまゆずる)
NPO法人ぷれいす東京 代表/社会福祉士
第31回日本エイズ学会学術集会・総会会長。研究活動では、ゲイ・バイセクシュアル男性の予防啓発、HIV陽性者の就労や社会生活、薬物使用を含むメンタルヘルスなどをテーマとしている。

ゲイコミュニティの中でのHIVについて

「例えばあるバーのママが、話をしてくれたことがあって、HIV陽性だとママがわかっているお客さんが、バーの中で出会って、セックスをする機会ができそうなのを見るとちょっと微妙な気持ちになるって。それによって新たにHIVを移すことにならないか、なんて心配があったりする。その気持ちはわかる気もします。
近年いろいろな研究で、HIVに感染しても体内のHIVのウイルスをしっかり抑えていればそれで感染をさせるようなものではない、ということが証明されています。だから、陽性 者の治療や現状を知ることは大事ですし、そもそもは、コンドーム をつければ予防できるものです」

治療をしている人≠「感染源」

「HIVに感染している人のうちどのくらいの人が感染に気づいているか、という研究について日本でもいくつかの研究成果が出始めています。仮に8割ぐらいの人が検査などで感染に気づいていることになったならば、5人いたら4人が感染に気づいているわけです。5人のうち1人は、自分でそのこと自体に気づいていない状態。だとすると、陽性であることをカミングアウトしている人を不安に思うのではなくて、自分で感染の事実を知らないでいる人のことをもっとみんなで心配しなければいけないと思うんです。そこが今まだ、クリアできていない。
ゲイを対象にWEB調査を行った のですが、『治療をすれば、HIVのウイルス量を抑えて他の人に感染させることを防ぐことができる』という知識について、約半数ほどしか正当がなかった。まだその知識や情報はうまく伝わっていない。5人のうちの1人が、どう検査を受けやすくするか、そうしたことを今考えるべきだと思います」

現状を伝えることで「自分の問題」に

「科学的な事実から考えれば問題ないのに、『実は自分は……』と言ったら、相手が離れてしまうことがある社会の現状っていうのは、本当にひどい話だと思います。だけど、それを多くの人が知らない状態にしているっていうのは、『みんなの問題』だと思います。
そのことは実際に、自分が検査を受ける、受けない、という判断に関わると思います。例えば、自分が陽性だとわかったときに、もう誰も愛してくれ ないかも、自分を思ってくれないかもって思っていたら、なかなか先には進めないじゃないですか。だからそこの誤解を変えていくことは、検査の受けやすさにもつながるのではないかと思っています」

社会の一員としてどう生きるのか、心の悩みをサポート

HIV陽性者と病院の関わりというのは治療の進歩もあって、この10年間でかなり変わってきた。通院が2〜3ヶ月にいっぺんで、病院で話すのは10〜15分ぐらいという人も多かったりする。そうすると検査結果、治療についての話はできるけれども、出会いがあった、今後のパートナーができた、性生活や誰にカミングアウトをするかなど人間関係の悩みは、なかなか話しきれない。だから、社会の中の一員としてどう生きていくのかの支援は、ニーズがまだあると思っています。
またストレスのスクリーニングに関するアンケート結果を分析すると、HIV陽性者のメンタルヘルスはあまりいい状態ではない傾向にありました。一般ゲイ男性よりもさらにストレスの多い状況であることも見えています。HIV陽性者の心の健康っていうのはとても大事な問題で、病院にカウンセラーさんが常駐しているところだけではないので、地域の中でそうしたことを話せるっていうのは、もちろんNGOだけじゃないですが、選択肢があることは大事だと思っています。

ぷれいす東京

ゲイによるゲイのためのHIV/エイズ電話相談
03-5386-1575(土19-21時)

HIV陽性者と確認検査待ちの人、そのパートナー、周囲の人のための電話相談
0120-02-8341(月-土13-19時)
*厚生労働省委託事業

ハローワークや障害者就労センターなどと連携した就労支援も行っています。

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